【結果発表篇】「オジュウチョウサン ベストレース グランプリ」の話

ラストランの記憶も忘れつつあるこのタイミングで結果発表!

忘れてたというか気が乗らなかったというか

それでは早速10位から発表

 

第10位 絶対王者の新たなる挑戦

平成30年 開成山特別

夏競馬の土曜日の9レース・平地未勝利の7歳馬に日本中の注目が集まったレースは恐らく後にも先にもこの1回だけだろう

「どの馬が勝つか」ではなく「ある馬が勝てるかどうか」に焦点が当たるという意味ではオルフェの凱旋門賞に近いのかな

 

第9位 オジュウチョウサンが、また、ライバルを突き放した

令和2年 阪神スプリングジャンプ

前年の最優秀障害馬・シングンマイケル、障害5戦4勝とメキメキと力を付けてきた新星・トラスト

しかし終わってみればこれらの挑戦者たちを嘲笑うかのようにラスト200で突き放してレコード勝ち

惜しむらくは緊急事態宣言真っただ中だったため、現地で観られた人が皆無なこと

 

第8位 マッチレースを制したのは

平成31年 中山グランドジャンプ

盟友アップトゥデイトが不在となり2番手以下が混戦となった中山GJ

その状況を表すかのようにニホンピロバロンマイネルプロンプト・タイセイドリーム・シンキングダンサーといった実力馬たちが次から次へと絡んでくるも最後は全馬を振り切って同レース4連覇を決めた

この辺から圧倒的な勝ち方よりも堅実にキッチリ勝っていくスタイルにシフトしていく

 

第7位 夢を乗せたグランプリ

平成30年 有馬記念

平成最後のグランプリレース最大の注目は1頭の条件馬だった――

約半年かけた平地挑戦の集大成

大敗も十分に考えられるところだったが、結果はコンマ8秒差の9着と大いに善戦したと言えるだろう

ここがオジュウフィーバーのピークだっただけに翌年の平地挑戦は正直余計だったなあと後から思わざるを得ない

 

第6位 しかし王者は違う!

平成29年 東京ハイジャンプ

同年中山GJ後に剥離骨折が判明し復帰戦となったこのレース

タマモプラネットと小坂が軽快に飛ばし、馬場もあってさすがにこれは差し切れないか…?と思ったところからの逆に2着に2.0秒差の圧勝劇

秋華賞の裏ということもありまあまあ人が入っていた東京競馬場がどよめいた記憶がある

この水色と赤の勝負服の芦毛の馬が大逃げする光景を我々は2か月後また目撃することとなる…

あとこの辺から直アナのポエムが鼻に付き始めるようになる

 

第5位 無人のライバル馬

平成28年 東京ハイジャンプ

まだ「絶対王者」ではなく1頭のGI馬であった頃のお話

2台目の障害でラグジードライブ高野和馬が落馬したところから事件は始まる

60キロの負担重量がなくなったラグジードライブは徐々に番手を上げていき、逃げるマキオボーラーとぺったり並走する

仕方なくオジュウチョウサン石神は空馬の外から捲ろうとするが、当然制御の利かないラグジードライブは思い切り外に膨れてオジュウチョウサンも外に追いやられる

結局最後は空馬と併走しながらマキオボーラーを差し切り見事1着でゴールイン

というか今見直したら最後空馬に先着許してたのね

直也アナが「空馬にからま$%&、絡まれながらも」と思い切り噛んだところが個人的なツボ

 

第4位 4:43.0の衝撃

平成30年 中山グランドジャンプ

前年の大障害で大熱戦を演じたアップトゥデイト

引退を公言していた林騎手とのコンビはラストラン、阪神スプリングJ圧勝したアップトゥデイトに対しオジュウチョウサンは直行ローテ、大障害と違い直線に障害のあるコースは逃げ馬に有利に働く等々の理由から雪辱を果たすならここしかないと思われていた

しかしゲートが開くとオジュウチョウサンはハイペースで逃げているはずのアップトゥデイトをぴったりマークする

クランモンタナマイネルクロップという平地重賞を勝っている芦毛2頭が絡んできたのもアップトゥデイトには不幸だった

結局残り600でオジュウチョウサンが先頭に立つと後は突き放していくだけ

従来のレコードを3.6秒更新する異次元のタイムで圧勝

この年の最優秀障害馬をこのレースとネームバリューのみで受賞した

最後4コーナーでカラスが飛んでいくところが無駄に格好いい

 

第3位 新たな境地へ

令和4年 中山グランドジャンプ

前年の大障害で復活Vを遂げると前走の阪神SJで敗れたエイシンクリックが居ないことなどもありGIでは2年ぶりの1番人気に支持された

さてレースは終始好位で進めるも残り800で一度下がっていき厳しいか…と思われたところから捲り、最後はブラゾンダムールとの追い比べを制してGI9勝目

丁寧めの飛越から最後に追い比べを制して勝つというパターンは、粗い(荒い?)飛越から並ぶ間もなくサッとかわすという全盛期のスタイルからは考えられなかった勝ち方で、11歳にして新たな境地を見せる結果となった

まあこれが最後の勝利だったんですけどね

 

第2位 帰って来た絶対王者

令和3年 中山大障害

前年の京都JSで障害4年半ぶりの敗戦を喫し、大障害回避からのぶっつけ中山GJは新王者メイショウダッサイの前に5着

秋緒戦東京HJでも前2頭を捕らえられず3着と正直かつての強さは見られず衰えを隠せなくなってきたオジュウチョウサン

この中山大障害でも3.3倍の2番人気に甘んじ、それでも過剰人気感が出ていた

レースは終始2,3番手で進めると、この馬にしては珍しく向正面で先頭に立ちそのまま伏兵ブラゾンダムールを振り切ってゴール

スペシャルウィーク天皇賞やその娘ブエナビスタジャパンCを彷彿とさせる実に1年8か月ぶりの復活劇であった

恐らく勝因はさしたる逃げ馬がおらず結構なスローペースになったこととスピードの衰えを自覚して早めに先頭に立って押し切るスタイルを選んだこと

同年や翌年の東京HJのようにハイペースの消耗合戦になったらさすがに厳しかった

 

第1位 世紀のデッドヒート

平成29年 中山大障害

前年の中山GJでGI初制覇を果たしてから目下障害重賞7連勝中

剝離骨折明けの不安もあった前走東京HJも2.0秒差の圧勝

最大のライバルアップトゥデイトとの格付けも済んだ感も正直否めず

もはやファンは「何が勝つか」ではなく「オジュウチョウサンがどういう勝ち方をするか」に注目していた

それを象徴するかのように新聞には軒並み◉が並び、前日発売では2番人気以下がカンストするという珍事も起きた

40,000人超というスプリンターズS並みの人数が見守るなかスタートしたレースは水濠の手前で先頭に立ったアップトゥデイトがグイグイと後続を引き離していく

追いかけるオジュウチョウサンもじわじわと差を詰め、3コーナー坂路を上ったところではさすがの手応えであっさり前を捕らえるだろうと思われていた

が、粘るアップトゥデイトとの差が一向に縮まらない

必死に追った石神がようやく捕らえたところがゴールだった――

26年ぶりのレコードのおまけが付いたこのレースは日本競馬の障害競走史最高のレースと言っても過言ではないだろう

実況の山本直アナはこれがGI初実況であり終始テンパってるのが伝わってくる

それでも最後ルペールノエルが3着に入ったのをきっちり伝えたのは立派

筆者個人の感想はコチラに書いたので物好きな人はそちらも見ていただくとして、やっぱり今回のランキングでもぶっちぎりの1位に選ばれた

よく良い曲と売れた曲は違うというファンがいるけどまさにこの中山大障害オジュウチョウサンをメジャーにさせたミリオンヒットだと思う