JRA賞最優秀障害馬の話

もう2月になり今更感のある話題

 

さて昨年度の最優秀障害馬はメイショウダッサイに決まったわけですが ネット上では

疑問を投げかける人も結構いてびっくり

最優秀障害馬の選考基準は割と一貫しており

① J・GIの成績

② J・GI以外の重賞の成績

の順に成績が良かった馬が選ばれており、直接対決の結果・出走馬のレベル等はほとんど考慮されないと言っていい

実例を見ていこう(上が最優秀障害馬)

1. 令和元年度

 シングンマイケル ①中山GJ不出走・中山大障害1着 ②東京JS・東京HJ

 オジュウチョウサン ①中山GJ1着・中山大障害不出走 ②阪神SJ

2. 平成26年

 アポロマーベリック ①中山GJ1着・中山大障害2着 ②(ペガサスJS)

 レッドキングダム ①中山GJ不出走・中山大障害1着 ②(イルミネJS)

3. 平成24年

 マジェスティバイオ ①中山GJ1着・中山大障害3着 ②(ペガサスJS・イルミネJS)

 マーベラスカイザー ①中山GJ不出走・中山大障害1着 ②特になし

4. 平成13年度

 ゴーカイ ①中山GJ1着・中山大障害2着 ②特になし

 ユウフヨウホウ ①中山GJ不出走・中山大障害1着 ②なし*1

5. 平成12年度

 ゴーカイ ①中山GJ1着・中山大障害2着 ②東京HJ

 ランドパワー ①中山GJ不出走・中山大障害1着 ②特になし

一応ペガサスJSとイルミネーションJSはステップ競走なので準重賞扱いとした

 

ただ、この基準だと微妙なのが平成30年度で

 オジュウチョウサン ①中山GJ1着・中山大障害不出走 ②なし*2

 ニホンピロバロン ①中山GJ3着・中山大障害1着 ②特になし

まあでもこの年のオジュウチョウサン年度代表馬に票が入ったレベルだったからなぁ

自分だったら最優秀障害馬はニホンピロバロンにしてオジュウチョウサンは特別賞と考えるかもしれない

「自分だったら」と書いたが結局上記の基準で最優秀障害馬に投票している記者が多いからそうなっている、というだけの話であって独特の評価軸を持った人がいたっていい

そう、平成25年度の選考で年間未勝利のバアゼルリバーに入れた毎日新聞の増永道夫のように

だから300人近くの記者による投票って形を取ってるんでしょ、これが10人くらいの話し合いで決めるのに偏屈な人がいると困るけど

 

JRA賞についての個人的な不満は違うところにある

JRA賞最優秀2歳牝馬」って要らなくねぇか?

朝日杯かホープフルを獲る牝馬が出てくるか*3今後2歳牝馬GIが増えるか*4海外の2歳GIを勝つ2歳牝馬が出てこない限り*5阪神JFの勝ち馬が自動的に選ばれることになる

最優秀ダート馬なども事実上一択になっているが一応選択の余地はある

あとはダート↔芝、障害↔平地、3歳↔古馬のように路線を跨ぐということもできないため違った軸で評価するということもできない

「最優秀2歳馬」でいいじゃん、と思う。「今年はやっぱりソダシでしょ」とか「意外とレシステンシアとコントレイル票が割れたな」とか選ぶ方も見てる方もこっちの方がワクワクすると思いませんか

*1:「特に」すらない

*2:障害競走の出走が中山GJのみ

*3:なくはない

*4:ほぼないでしょう

*5:まずない

令和3年度 春季競馬番組の話

先日、来年度の春季競馬番組が発表された。

特に来年は京都競馬場の改修の関係で大幅な変更が予測されていたが蓋を開けてみると、

  • 万葉Sで(平地の)中京芝3,000 mがお目見え
  • 準OPの松籟Sが芝外内3,200 mに
  • 大阪-ハンブルクCがOPに再昇格し芝外2,600 mに

等々距離設定ヲタクにとっては絶頂モノの番組になったわけですが、以前ココで話した「阪神大賞典の前週に中山3,200の準OP」がちょっと歪んだ形とはいえまさか実現することになるとは思わなかったわけで、そうなると「オジュウチョウサン 松籟Sに参戦へ」みたいなちょっとヤな予感がしないでもないんですが、

まあ本ブログは障害レースのブログなので障害の話をするよ。あ、そうだ京都HJの中京3,900も初登場だね

そんなことより、1回・2回の小倉開催中は全ての障害競走を小倉で行う

全てだよ、すべて。全部。牛若丸も春麗も全部。

以前、1回小倉で障害を行わない理由として

  1. 美浦から小倉は遠い。
  2. 小倉の未勝利戦はフルゲートが12頭しかない。
  3. 積雪で施行できないリスクがある。

というのを挙げたが、ホントにやるの?って感じだ。

  1. 1/10の未勝利戦から3/14の未勝利戦まで2か月以上本州で障害競走が行われない。小倉の重賞を勝った関東馬が過去3頭しかいないことでもわかる通り、交通の便が良くなった現在でも関東の調教師は小倉遠征には非常に消極的である。わざわざ障害の未勝利馬のために小倉まで行くかなあ?
  2. 夏季の場合は平地の未勝利馬が流れてくる直前ということもあり少頭数なので特段問題は発生していない(と思われる)。別に関東馬は新潟使えばいいし*1。冬は多いぞ未勝利出走馬。しかも主場と小倉みたいな変則施行ですらないし。
  3. ただですらフルゲート少ないのに降雪で競走潰れたらカオスだぞー

いや、マジでびっくりしたけどよく美浦の調教師受け入れたなこれ。何か保障でもあるのかね

*1:コース形態が全く異なるが

ステップレースの話

絶対王者が帰厩してきて、いよいよ年末の大障害が近づいてきましたな。

 例年少頭数になりがちな京都JS、今年は阪神開催だからいつもより頭数が揃うかな、と思っていたら…

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6頭立

少ねぇ…

 

ただし、今年の重賞勝ち馬が3頭と中山GJの3着馬が出てきたからメンツとしては相当豪華

これにメイショウダッサイが加わればほぼ現在のベストメンバーと言える

 

そもそもなんで京都JSは少頭数になりがちなのかというと、京都の障害コースは小回りで障害が連続する特殊なコース形態だから。

実際、テイエムハリアー・ルールプロスパー・タマモプラネットのように京都で激走する馬というのが一定数いる。

 

と思っていたのだが、阪神開催でも6頭立になるということは別の理由がある気がしてきた。

10月~12月の間にある障害重賞・OP特別は以下の通り

開催週がわかりやすいように()内に同じ週に行われるGIを示す

東京HJ (秋華賞)

京都JS (エリザベス女王杯)

秋陽JS (マイルCS)

イルミネーションJS (チャンピオンズC)

中山大障害 (有馬記念)

 

皐月賞トライアルかよ

平地のように障害でも間隔を空けたローテを使うのが最近は一般的になってきている

事実、以前はメジャーだったイルミネ→大障害のローテで中山大障害を勝った馬は平成26年レッドキングダムが最後となっている*1

そもそも中山大障害はOP勝ちがあれば賞金で弾かれることはまずないと言っていいため、賞金加算や権利取りのためにレースを使う有力馬もそういない。

また、昔と比較して東↔西の行き来もしやすくなったため、関西馬でも東京や中山のレースを使うことが多くなった*2

一方で中山GJの前哨戦はほぼ阪神SJかペガサスJSの2択のため*3、がっつりメンツが揃う。

 

かつての京都大障害の流れを汲むため京都JSを無碍にできないのもわかるけど、中途半端に大障害の前哨戦に位置付けた結果、存在感が薄れた気がする*4

だからいいじゃん、京都HJみたいにここをメインにする馬をターゲットにすれば

 

発走に間に合わせるために適当に締めてこの話終わり

*1:ちなみにこの年は番組の関係で中1週(!)だった

*2:例えば秋陽JSは過去21回の開催のうち16回が関西馬の勝利

*3:あるいは大障害から直行か

*4:今年は例外として

ルペールノエルの話

伝説の平成29年の中山大障害で2着から3.2秒差の3着に入るなどMr.着拾いのイメージが強く、中山大障害では馬名の由来を弄られがちだったルペールノエル

初めて重賞で1番人気になったレースでスタート後10秒で落馬

京都不安説が囁かれていたがそれ以前の問題だった

 

今戦績を見返したら、アップトゥデイトオジュウチョウサンサナシオンが勝った平場OPにそれぞれ出走していたのね

思いの外()愛されてたんだなぁルペールノエル

大体後ろの方走ってるから飛越が綺麗とかあんまり考えたことなかった

 

ニホンピロバロン・タイセイドリーム・タマモプラネットなどに代表されるアップトゥデイト世代の中で最後まで走っていたのも実にこの馬らしい

ダービーとCコースの話

あ、最初に言っとくけど障害レースほとんど関係ないよ

 

 今週末はいよいよダービー

 さて、ご存じの方はどれくらいいるか知らないが、東京競馬場が改修された平成15年以降のダービーは必ずCコースで施行されることになっている。他に施行コースが限定されている芝のGIには菊花賞有馬記念(ともにAコース)があるが、これはフルゲートの頭数によるもの*1

 完全な余談だが阪神の3,000 mはフルゲートが16頭なので来年の菊花賞は16頭立てでやるのかそれとも中京でやるのかに注目

 では、なぜダービーはわざわざ狭いCコースで施行するのか。その理由をコースオタクの筆者が細かく解説する

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東京競馬場だと思ってほしい☝

大昔の東京競馬場は今のようにAコースやBコースなどなく一周2,100 mの周回コースだった。

 

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その後昭和60年に芝コースを内側に拡充し、広げた部分をAコース、その外側をそれぞれBコース(内埒から7 m)・Cコース(内埒から13 m)とした。ちなみにこのとき2,000 mのシュート部分はそのままだったので旧東京の芝2,000 mはBコースとCコースの設定しかなかった。

 

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 さらに平成5年にAコースはA1コース(最内)とA2コース(内埒から3 m)に分けられた。

 

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 そろそろゴールが見えてくるよ

記憶に新しい平成15年の改修でAコース・Bコース・Cコース・Dコースに改められた。2,000 mのAコース・Bコースも新設され、一年中2,000 m戦を施行することができるようになった

ちなみに幻のEコースは旧Cコースの1 m内側にあたる

ちなみにちなみにコース図を見ると3コーナーのところにイカの耳のようにポケットがあるが あれは旧3,200 mのスタート地点…のような適当なことを言う人がいるが正しくは大昔施行されていた左回り1,000 mのスタート地点の名残である

 

さあいよいよ結論。最初の画像と見比べてほしい

元々の東京競馬場の芝コース(に一番近い)は現在のCコースになっている。「伝統の日本ダービーはなるべく昔のコースに近いレイアウトでやりましょうよ」というのがダービーをCコースで施行する所以である

 

取ってつけたように障害レースの話を

中山グランドジャンプの4,250 mという距離はBコースの場合である。平成23年中山グランドジャンプはCコースで行われたため4,260 m表記だった。もしAコースで行われる場合は4,240 mになる

同様にしてペガサスJSの3,350 mはAコースでの距離設定。平成14年のイルミネーションJSはCコースだったため3,370 mだった

 

以下愚痴

  • この記事で一番頑張ったのは東京競馬場の絵。CADならこのくらい一発なのに…
  • また何かの機会に愚痴ると思うけど、ただでさえ東京と中山は距離設定の互換性が悪い上に「ダービーは東京のCコース・有馬記念は中山のAコース」という縛りがあることが代替開催を面倒にしている。京都と阪神はそんな制約がないので2年くらい改修工事に専念できたりする
  • 直線しか芝コースを使わない場合はコースが違っても距離設定は同じ。例えば東京HJはAコース・東京JSはDコースでスタート地点も同じだが両方とも3,110 m。あれ絶対走る距離変わってくると思うんだけどな

三木ホースランドパークジャンプステークスの話

平成11年のグレード制導入元年から施行されたOP特別シリーズ第二弾

長い。

まず「三木ホースランドパーク」が長い。「地名+横文字」の東京ディズニーランドとか高輪ゲートウェイとかのパターン

んで「ジャンプステークス」も大概長いんだけど、これは致し方ない

「報知杯弥生賞ディープインパクト記念」みたいに色んなものがくっついて長くなった訳じゃないので端折れない。馬柱だと「三木HLPJS」みたいになって最早何だかわからねえぞ。

まあでも"Miki Horse Land Park"と4単語なぶん頭文字で略せるだけマシで、一単語のイルミネーションジャンプステークスの方がそういう意味では略しづらかったりする。

 

前置き終わり。

当初は中山大障害の翌日に施行、というなかなかぶっ飛んだ条件だったが、平成18年からは中山大障害の2週前に移行。その気になれば中山大障害へも行け、年明けの牛若丸JSとの間隔も空いて使いやすくなった。

更に平成25年からは中山GJの2週前に移行。距離も3,900 mから3,140 mへと短縮された。名称は短縮されず。一応メイショウアラワシやラステラのようにこっから中山GJへ行った馬もいるが、むしろニホンピロバロンアスターサムソンのように京都HJへのステップとしての性格が強くなった。

「賞金別定なのにJ・GIIと同じ距離」という個性を捨てた結果、レースレベルは向上したと言っていいと思う。中山大障害の前哨戦としての存在感が年々薄れてきているイルミネーションJSも名前を距離を短縮すれば面子が揃うんだったら、個人的にはそれでいいかなと思うんだよな

淀JSの話

平成11年のグレード制導入元年から平成24年までこの時期に施行されていた淀JS。

休止になった理由は推測するしかないが、以下の通り

  1. ダート3,760 mという個性的なコース
  2. 賞金別定なので一線級の馬は出てこない
  3. 近所に牛若丸JS・春麗JSというキャラの被ってるG別定のOP特別が存在する
  4. 結局どスローの前残りになる

 

1. 何だよ、3,760 m (直線ダート)って。京都HJの一つ前からスタートする立派なコースなのに賞金別定のOP特別。しかもダート。

 

2. 繰り返すが賞金別定なので、特殊なコースなのにリピーターが得られにくい。例えば平成22年に当レースを制したテイエムハリアーが翌年も出ていたら64 kg、その翌年だと68 kgを背負わされてしまう。一方牛若丸JSは60→60→61を背負って3連覇している。

 

3. そもそも障害の番組は中山大障害阪神SJまで重賞がないので、1,2月にOP特別が多くなりがち。しかも芝保護のためなのか直線ダートなので施行条件が被りやすい

 

4. 京都の障害コースは坂路や襷のようなアクセントがないので単調になりやすい。平地で顕著だが、「長距離レースは肉を斬らせて骨を断つような究極のスタミナ合戦になる」というのはただの妄想で、大抵は助走距離が伸びただけの2,000 mみたいなレースになる。

 ここ数年は京都HJも似たような傾向で、平成29年・30年は勝ち時計4分30秒台・上り3F38秒前半のどスロー逃げ切りが2年続いた。マドリードカフェもアスターサムソンもこれで過大評価されちゃった節があるよなあ。

 本題の淀JSも最終回は勝ち時計4:21.7・上り37.1の超絶どスロー。ピンとこないと思うが前半3,160 mが1F平均14.2に対して後半600 mが1F平均12.4。最後の300 mダートだからね?

 

要約すると、施行条件が悪いよ()。的を射ている喩えかわからないけど、阪神大賞典の前週に中山芝3,200の準OPがある感じ。近くにダイヤモンドS日経賞があるし、準OPなのでトウカイトリックやサイモントルナーレは出られない。

三木ホースランドパークジャンプステークスみたいに距離を短縮して時期を変更すれば生き残れたのかも。ん、それって洛南JSじゃ…?